「オーブンレンジがないとケーキは焼けないの?」
「トースターだと真っ黒に焦げて失敗しそう…」
こんにちは。ひまわりです。
「お菓子作りをしてみたいけれど、立派なオーブンレンジは持っていないし、予熱に時間がかかるのも面倒…」
そんなふうに悩んで、結局スーパーのスイーツで済ませてしまうこと、ありませんか?
実は私も、昔は「トースターなんて食パンを焼くだけの道具」だと思い込んでいました。
でもある日、余ったホットケーキミックスを適当に焼いてみたら、表面は真っ黒、中はドロドロの生焼け…。
「やっぱり専用のオーブンじゃないと無理なんだ」と諦めかけたことがあります。
けれど、家電の仕組みを深く知るうちに気がついたんです。
失敗の原因は、私の腕が悪かったからではなく、
を知らなかっただけだということに。
トースターの特性、例えば「庫内の低さ」や「赤外線の直撃」という物理的なクセさえ理解してしまえば、実は、パティスリーのようなバスクチーズケーキや、サクサクのスコーンが焼ける「最強の時短オーブン」に化けるんですよ。
この記事では、トースターでもお菓子作りができる理由や、多くの人が陥る「生焼け・黒焦げ」のメカニズム、そしてそれを回避するちょっとした裏技について、マニアックな情報を交えながらたっぷりと解説します。
これを読み終わる頃には、きっとあなたもキッチンに行ってトースターのスイッチを入れたくなっているはずです。
- トースターとオーブンの決定的な違いと代用するためのポイント
- 黒焦げや生焼けを防ぐためのアルミホイル活用術
- チーズケーキやシフォンケーキなど種類別の向き不向き
- 失敗しないためのケーキ型の選び方とお手入れ方法
オーブントースターにもいろいろありますが、ケーキ作りにおすすめなのが、コンベクション機能付きのオーブントースターです。
オーブントースターでケーキは焼ける?代用できるか違いと欠点を解説
- トースターはオーブンの代わりになるか?
- オーブントースターの欠点とは
- ケーキが焼けない?焦げる原因
- チーズケーキやスポンジケーキやシフォンケーキの向き不向き
- トースターで使えるケーキ型の選び方
トースターはオーブンの代わりになるか?
オーブントースターはオーブンの完全な代わりにはなりませんが、「特性を理解すれば、種類によってはオーブン以上に美味しく焼くことも可能」です。
多くの人が混同していますが、実はトースターとオーブンは「温め方」のアプローチが正反対なんです。
わかりやすく例えるなら、オーブンレンジは「サウナ」、トースターは「焚き火(直火)」だと思ってください。
一般的なオーブンレンジ(コンベクションオーブン)は、庫内の空気を温めて対流させます。
その結果、食材を熱い空気で包み込むようにしてじっくり全体を加熱します。
温度を一定に保つのが得意なので、厚みのあるケーキでも中まで均一に火が通ります。
その代わり、広い庫内全体を温めるのに時間がかかり、予熱に15分以上待たされることもザラですよね。
一方、トースターの主な熱源は「赤外線ヒーター」による放射熱です。
これは、ヒーターから出た熱線が食材の表面にダイレクトに当たる仕組み。
だからこそ、食パンの表面をたった2〜3分でカリッと狐色にできるんです。
この「立ち上がりの速さ」はオーブンにはない最大の武器。
予熱時間はわずか1〜3分程度です。庫内が狭い分、熱密度が一気に高まります。
なので、クッキーやマフィン、表面を香ばしく焼きたいチーズケーキなどには、むしろオーブンよりも手軽で適している場合さえあるんです。
「代用」というよりは、「短距離走が得意な別の選手」として付き合うのが正解ですね。
オーブントースターの欠点とは
手軽さが魅力のトースターですが、お菓子作りという「繊細な作業」においては、構造上の明確な欠点がいくつか存在します。
ここを知らずに挑むと、失敗まっしぐらです。
最大の欠点は「庫内の高さ(天井)が圧倒的に低いこと」です。
オーブンレンジの庫内高さが20cm〜30cmあるのに対し、一般的なトースターは8cm〜12cm程度しかありません。
網やトレーをセットすると、有効な高さはもっと低くなります。
これの何が問題かというと、ケーキ型に入れた生地が焼けて膨らんだ瞬間、上部のヒーターに物理的に接触してしまう「天井付き」という事故が起きるんです。
ヒーターの温度は数百度に達しますから、触れた部分は一瞬で炭化し、最悪の場合は発煙・発火の原因にもなります。
もう一つの欠点は、「温度管理のアバウトさ」です。
トースターを使っていると「カチッ」と音がしてヒーターが消えたりついたりしますよね?
あれは「サーモスタット」という安全装置が働いている音なのです。
基本的には「設定温度を超えたら切る、下がったらつける」という単純なオンオフ制御を繰り返しているだけなんです。
そのため、庫内の温度は常に上がったり下がったりと波(リップル)が大きいんです。
例えば「180℃で30分キープ」といった、スポンジケーキに求められるような安定した環境を作るのは実はとても苦手。
この温度の乱高下が、焼きムラや生焼けを引き起こす要因になっています。
ケーキが焼けない?焦げる原因
「レシピ通りに10分焼いたのに、表面は真っ黒で中は生のまま…」
トースター調理で最も多いこの失敗。
実はこれ、トースターの「W(ワット)数」と「温度(℃)」を混同していることが最大の原因なんです。
トースターの切替スイッチにある「1000W」という数字。これを「1000℃」のような温度だと思っていませんか?
あるいは「最強モード」くらいの認識でしょうか。
実はこれ、あくまで「消費電力(出力)」の強さを表しているだけで、温度設定ではないんです。
1000W(強火)の設定で加熱し続けると、庫内の狭いトースターの温度はあっという間に200℃を超え、250℃近くまで上昇し続けます。
一方、一般的なケーキのレシピで指定されるのは「170℃〜180℃」。
つまり、1000Wで焼き続けるというのは、適正温度を遥かに超えた猛火の中にケーキを放り込んでいるのと同じことなんです。
さらに、ケーキ生地に含まれる砂糖やバターは、熱が加わると「メイラード反応」や「カラメル化」を起こして美味しく色づきます。
ただ、180℃を超えたあたりから急激に焦げ(炭化)へと変化します。
トースターの強力な赤外線は、食材の内部が温まるよりも先に、表面の温度を爆発的に上昇させてしまいます。
その結果が、「中は冷たいのに外は炭」という悲劇が生まれるのです。
また、心配になって何度も扉を開けて中を確認していませんか?
トースターは庫内が狭いため、扉を開けると一瞬で庫内温度が50℃〜100℃近く低下します。
これを繰り返すと、いつまで経っても中まで火が通らない原因になってしまうんです。
チーズケーキやスポンジケーキやシフォンケーキの向き不向き
トースターには、構造的に「得意なケーキ」と「どうしても苦手なケーキ」がはっきりと存在します。
無理に全部焼こうとせず、相性の良いメニューを選ぶのが成功への近道です。
【相性抜群:チーズケーキ】
トースターと最も相性が良いのがチーズケーキです。
特に流行りの「バスクチーズケーキ」は、高温で表面を黒く焦がし、中は予熱でとろりとさせるのが正解のケーキ。
まさに直火が得意なトースターのためにあるようなスイーツです。
また、ベイクドチーズケーキもあまり高さが出ず(膨らまず)、じっくり火を通すタイプです。
焦げ防止のアルミホイルさえ被せれば、驚くほどきれいに焼けますよ。
【相性良し:マフィン・スコーン・ブラウニー】
小分けにして焼くマフィンや、平たく焼くブラウニーもおすすめです。
生地の厚みがない分、中心まで熱が伝わりやすく、生焼けのリスクが低いためです。
また、スコーンは高温短時間で焼き上げるのがコツなので、トースターの強い火力で「腹割れ(オオカミの口)」がきれいに開きやすく、サクサクに仕上がります。
【難易度高:スポンジケーキ】
ショートケーキの土台となるスポンジケーキは、難易度が高めです。
スポンジケーキは、卵の気泡を熱で膨らませる繊細な生地なので、トースター特有の温度の乱高下に弱いです。
そのため、「キメが粗くなる」「膨らまない」「焼いた後にしぼむ(腰折れ)」といった失敗が起きやすいです。
焼けないことはないですが、かなりの温度調整テクニックが必要になります。
【不向き:シフォンケーキ】
残念ながら、シフォンケーキはトースターには最も不向きです。
理由は単純で「高さがありすぎる」から。
シフォン型は高さがあるため、トースターに入れると煙突部分がヒーターにほぼ接触してしまいます。
また、シフォンケーキは中心の筒を通る「熱対流」を利用して膨らみます。
そのため、庫内が狭く対流が起きにくいトースターでは、高さが出ずにペちゃんこになりがち。
シフォンを焼くなら、紙コップなどで小分けにして焼くのが賢明です。
トースターで使えるケーキ型の選び方
トースターでお菓子作りをする際、型の選び方を間違えると、失敗どころか「火事」のリスクがあります。
ここは慎重に選びましょう。
まず、絶対に避けてほしいのが「紙製の型」です。
100円ショップなどで売っている可愛い紙のマフィン型やパウンド型。
パッケージの裏をよく見ると、小さく「オーブントースター不可」と書かれているものが大半です。
オーブンと違い熱源が露出しているトースターでは、紙がヒーターの熱で発火点に達し、燃え上がる危険性が非常に高いのです。
同様に、クッキングシート(オーブンシート)も、型からはみ出した部分がヒーターに触れると一瞬で燃えますので、必ず型の内側に収まるようにカットしてください。
おすすめなのは、以下の素材です。
- 金属製(アルミ・ブリキ・スチール)
熱伝導が良いので、焼き色がつきやすいのが特徴です。ただし、熱が伝わりすぎて底が焦げることもあるので、天板(トレー)に乗せて使いましょう。 - 耐熱ガラス(パイレックス等)
熱伝導がゆっくりなので、中までじっくり火を通すケーキに向いています。焼きムラも起きにくいですが、焼き時間は少し長くなります。 - 陶器(ココット・グラタン皿)
プリンやスフレなど、蒸し焼きにするお菓子に最適です。 - ホーローバット
平たいバットに生地を流して焼く「スクエアケーキ」なら、火の通りも早く、そのまま食卓に出せるので便利です。
そして一番重要なのが「サイズ確認」です。
型の「外径」だけでなく「高さ」もしっかり測ってください。
目安として、型を庫内に入れた状態で、型の上部とヒーターの間に「最低でも3cm〜4cm」の隙間がないと、膨らんだ生地がヒーターに触れてしまいます。
購入前に、ご自宅や購入予定のトースターの庫内有効寸法をメジャーで測ることを強くおすすめします。
オーブントースターでケーキが焼ける!簡単にお菓子作りをするコツ
- スポンジケーキが焼ける温度調節の裏技
- ケーキを簡単にするアルミホイル活用術
- 失敗しないケーキレシピの見つけ方
- お菓子作りにおすすめの機能と選び方
- まとめ:オーブントースターでケーキは焼ける!
スポンジケーキが焼ける温度調節の裏技
難しいと言われるスポンジケーキですが、トースターの「クセ」を逆手に取った温度調節を行えば、ふっくら焼くことは可能です。
ここで重要なのが「予熱」と「W数のシフトダウン」です。
1. 必ず「予熱(空焼き)」をする
「トースターだからすぐ温まるでしょ」と、冷たい庫内にいきなりケーキを入れていませんか?
これは最大のNG行動です。
庫内が冷たい状態から焼き始めると、設定温度に達するまでの間、ヒーターはフルパワーで赤熱し続けます。
すると、ケーキの中が温まる前に表面だけが強火で焼かれ、焦げの原因になります。
何も入れずに2〜3分スイッチを入れ、庫内をアツアツにしてからケーキを入れる。これだけで成功率はグンと上がります。
2. 「強火」から「弱火」へシフトダウン
W数(ワット数)が切り替えられる機種の場合、最初の数分は「1000W(またはHigh)」で一気に生地の温度を上げ、膨らみ始めたらすぐに「500W〜600W(またはLow)」に落としましょう。
500W程度であれば、庫内温度は180℃〜200℃付近で落ち着きやすいため、焦げすぎを防ぎながらじっくり中まで火を通すことができます。
3. 温度調節機能がない場合の裏技
安いトースターでW数切り替えもない!という場合は、「手動PWM制御」という荒技があります(笑)。
焦げそうだなと思ったらスイッチを切り、余熱で5分放置。
庫内温度が下がったらまたスイッチを入れる…というのを手動で繰り返すのです。
手間はかかりますが、この「スイッチON/OFF」こそが、高級オーブンのサーモスタットがやっていることと同じ働きなんです。
ケーキを簡単にするアルミホイル活用術
トースター調理において、アルミホイルは単なる消耗品ではなく「最強の温度調節デバイス」です。
これを使いこなせるかどうかが勝負の分かれ目です。
アルミホイルを被せることを、わたしは「ホイルの蓋」と呼んでいます。
これをかぶせると、ヒーターからの強力な放射熱(直火)を遮断し、庫内の熱気だけで焼く「蒸し焼き」に近い状態を作り出せます。
つまり、擬似的にオーブンの環境を作り出せるのです。
鉄則はタイミングを見極めることです。
最初からホイルを被せて焼くと、熱が伝わりにくすぎて生地が膨らまないことがあります。
ベストなタイミングは、「焼き始めて5分〜10分後」。
窓から見ていて、ケーキの表面に美味しそうな焼き色がつき、少し膜が張ったかな?というタイミングでサッと扉を開け、素早くホイルを被せます。
あとはそのまま焼き上げれば、表面はそれ以上焦げず、中までしっかり熱を通すことができます。
逆に、中まで火を通すのが大変な「分厚いパウンドケーキ」などの場合は、最初からホイルを被せてじっくり15分〜20分焼き、ラスト5分でホイルを外して焼き目をつける、という逆のパターンも有効です。
作るお菓子によって「先ホイル」か「後ホイル」かを使い分けてみてください。
失敗しないケーキレシピの見つけ方
トースターでお菓子作りを成功させる一番の近道、それは「レシピ選び」にあります。
本屋さんに並んでいる本格的なお菓子レシピ本の多くは、高性能なコンベクションオーブンを前提に書かれています。
「170℃で40分」といった指示をトースターで再現するのは至難の業。
ですので、初心者のうちは必ず「トースター専用」または「トースターで作れる」と明記されているレシピを探しましょう。
検索する際は、以下のキーワードを組み合わせるのがおすすめです。
- 「ホットケーキミックス(HM)」
ベーキングパウダーが最初から含まれているため、温度管理が多少アバウトでもしっかり膨らんでくれます。トースター調理の強い味方です。 - 「アルミホイル」
レシピの中に「途中でホイルを被せる」という工程が最初から書いてあるものは、トースターの特性を理解した信頼できるレシピである可能性が高いです。 - 「魔法のケーキ」「混ぜて焼くだけ」
こういったタイトルのレシピは、失敗しにくい工夫(平たく焼く、ブラウニー系など)がされていることが多いです。
また、最近は家電メーカー(タイガー、象印、パナソニック、アラジンなど)の公式サイトに、その機種専用のレシピが掲載されています。
これはメーカーが何度もテストして「絶対に失敗しない配合」を割り出したものです。
まずは公式HPからレシピを探してみてください。
お菓子作りにおすすめの機能と選び方
もしこれから、「パンだけでなくお菓子作りも楽しみたい」と考えてトースターを買い替えるなら、以下の3つのスペックに注目して選んでください。
2000円〜3000円の格安モデルとは、出来上がりのクオリティが劇的に変わります。
1. 温度調節機能(無段階ダイヤル)
「弱・中・強」や「500W・1000W」という切り替えではなく、「80℃〜230℃」のように温度を無段階で設定できるダイヤルがついている機種を選びましょう。
これがあれば、「160℃でじっくり焼くメレンゲクッキー」や「200℃で焼き上げるスコーン」など、作れるお菓子の幅がオーブン並みに広がります。
2. 庫内の「高さ」と「広さ」
カタログスペックで「外形寸法」を見るだけでなく、必ず「庫内有効寸法」を確認してください。
特に重要なのは高さです。
お菓子作りをするなら、庫内の高さが10cm以上あるものが安心です。
また、直径18cm(6号)のケーキ型が入る「食パン4枚焼き対応モデル」や「ワイドタイプ」を選ぶと、ホールケーキも余裕で焼けます。
3. コンベクション(熱風循環)機能
予算が許すなら、ファンで熱風を循環させる「コンベクション機能」付きが最強です。
直火の弱点である「焼きムラ」や「焦げやすさ」をカバーし、オーブンに近い包み込むような加熱が可能になります。
最近では5000円〜1万円前後のモデルでもこの機能を搭載したものが増えているので、お菓子作りメインならぜひ検討してみてください。
まとめ:オーブントースターでケーキは焼ける!
工夫次第で、トースターはお菓子作りの手軽で頼もしい相棒になります。
予熱の早さと直火のパワーを味方につけて、ぜひ美味しいケーキ作りを楽しんでくださいね。
- 最大の欠点は「庫内の低さ」
- 高さのあるシフォンケーキなどは天井焦げのリスクが高いので無理
- スポンジケーキはテクニックがいるかも
- チーズケーキ(特にバスク系)、マフィン、ブラウニー、スコーンは可能
- 紙製の型は発火の危険があるため絶対NG。
- 耐熱ガラスや金属製、陶器の型を使用する
- オーブントースターは放射熱で表面を焼く仕組みでありオーブンとは異なる
- 立ち上がりが早く予熱が1分から3分で済む点がメリット
- 庫内の高さが低いため膨らんだケーキがヒーターに触れやすい
- 温度制御がオンオフ式のため庫内温度が安定しにくい
- 1000Wは温度ではなく出力であり庫内は250℃近くまで上昇する
- 焼き始める前に必ず2分から3分の予熱を行い庫内を温める
- 焦げ防止にはアルミホイルを途中から被せる「ホイルの蓋」が有効
- 途中からW数を下げてじっくり火を通すことで生焼けを防げる
- 頻繁に扉を開閉すると庫内温度が急激に下がるため注意する
- ホットケーキミックスやトースター専用レシピを選ぶと成功しやすい
- お菓子作り用なら温度調節機能と庫内の広さを重視して選ぶ
オーブントースターを使用する際は、必ず取扱説明書をよく読み、記載された内容に従って安全にお使いください。指定外の材料や分量での使用は、故障や思わぬ事故の原因となる可能性があります。ご不明な点は、各メーカーのサポートセンターにお問い合わせください。(参照:国民生活センター)
